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セキュリティ業界で成功する方法(その2)

 先日、セキュリティ業界について「市場規模がセキュリティ脅威による実害の発生に依存している点で不安定であるといわざるえを得ない。」と書いたが、一部性質が異なるマーケットがあるので補足しておく。

 いわゆるイネーブラー(可能化要素)と言われる領域で、その技術を導入することで、これまでできなかったことが実現できるようになるというサービスや製品領域である。これまでの例で言うと、VPNやアイデンティティマネジメントがこれにあたる。これらは、それまでにセキュリティの懸念や技術上の問題から実現できなかった通信や管理形態を可能にするものであり、それによってコスト削減や業務の効率化、あわせてセキュリティの維持・向上を実現するものである。

 例えば、VPNの導入では、インターネット上に暗号化した仮想的な通信路を設けることで、専用線を使わなくても分散したオフィス間で安全に情報を共有することができるようになる。アイデンティティマネジメントの導入では、社員の個人情報とアカウント及び認証管理を人事、給与などの管理と統合することで、社員情報の管理を一貫性をもって効率良く行えるようになる。

 ワームなど特定リスクを回避するための支出が単なるマイナスの出費ととらえられるのに対し、イネーブラー領域の支出はプラスのリターンが得られる投資と位置づけられる。効果が目に見えてわかりやすいし、投資効果も評価しやすいため企業にとっては導入がしやすい。

 サービスや製品を提供する側は、セキュリティの知識はもちろんのこと、それによって実現するサービス領域への理解が必要となる。

 このような領域に対しては、比較的大きめの投資も可能であるため、新たなイネーブラー技術が出現した場合には、市場の拡大が見込まれ、そこにチャンスが生まれる。

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