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2008 年 1 月 のアーカイブ

WinnyとShareはほとんど日本で使われている

2008 年 1 月 23 日 コメント 1 件

「WinnyとShareは世界中で使われている」、ネットエージェントが調査(日経IT Pro, 1/23)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080123/291774/

WinnyとShareのユーザー数は日本に集中。Winnyユーザーの約96%、Shareユーザーの約95%が日本のユーザー。また、Winny ユーザーの約97%、Shareユーザーの約99%が日本を含む東アジアに集中している。日本におけるそれぞれのユーザー数は、Winnyが23万 2000人、Shareが16万6000人、LimeWire/Cabosが10万9000人程度。Winnyが一番人気である。

本文中で言われていることと記事の表題が随分と異なっている。Winny/Shareの利用や関連する情報漏えい事故がほぼ日本固有の現象であることは一般にはあまり理解されていないので、このような表題は誤解を招きかねない。

1年以上前にWinnyを対象に我々が行った調査では98%程度のノードが日本に属するIPアドレスを使用していた。その後わずかではあるが海外での利用が広がっている可能性はある。

いずれにせよこの比率から見れば「WinnyとShareは世界中で使われている」というよりは「WinnyとShareはほとんど日本で使われている」、せいぜい「WinnyとShareは海外でも多少使われている」というのが適切な表現だろう。

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電子投票の国政選挙適用に関する継続審議(その2)

2008 年 1 月 15 日 コメントはありません

毎日新聞社 日下部記者が電子投票をめぐる国会での議論について多面的な分析に基づき記事をまとめている。記事中の「そんな答弁でどうやって(法案に)賛成したらいいんですか」という発言にもあるように、多くの人々が電子投票のメリットを認めているものの現実に様々な不安要素が残されており、手放しで賛成できないというのが実情だろう。

武田教授は「『性善説』に基づくシステムでリスクが十分理解されていない。現段階での電子投票の全面導入は民主主義の重要な過程をブラックボックスに委ねることになる。慎重に議論すべきだ」と話す。一方、EVSの宮川理事長は「電子投票だったベネズエラの国民投票で(強権的な)チャベス大統領派が負けたことが公平性を証明している」と反論する。

EVSの宮川理事長は日本の選挙における電子投票について早くから技術開発と実践に取り組まれており実際の電子投票をめぐる各種問題にも真剣に取り組まれてきた人物である。電子投票機器に関する我々の調査にも大変前向きに協力していただき大変感謝している。安全で信頼性の高い電子投票を実現するという目指すべき方向については多くの人々が思いを同じにするところであり、この点において民主党も自民党もEVSも我々の研究チームも同じ意識を持っているはずである。先の記事の中で「電子投票を用いたベネズエラの国民投票」を例に電子投票が公平性が証明されたとしているが、電子投票が適切に実施されれば公平である点については誰も異論はないだろう。問題はどのようにして電子投票が適切に実施されることを担保するかである。

ベネズエラの国民投票に用いられた電子投票機器はスマートマティック社のSAESというシステムだそうだ。このシステムは投票結果を電子データとして記録するだけではなく同時に紙としても出力し投票箱に保管する「voter verified paper trail (VVPT) 」というアプローチにより公平性を担保(しようと)している。印字や給紙のトラブルなどにより電子記録と紙の記録に齟齬が発生するなど別途対策が必要な課題もあるが、電子データのみでブラックボックスに記録するよりは信頼性の面で優れるだろう。現在日本政府が提案している電子データの記録のみによる電子投票は、ベネズエラで実施された電子投票よりも信頼性の担保の面で不利であると言わざるを得ないだろう。

いずれにせよ日本は他国に比べ電子投票に関する認識や技術に対する理解が十分とは言えず、今後は単なる水掛け論にとどまらず建設的かつ本質的な議論を進めていかなければならない。

■クローズアップ2008:どうなる電子投票 法改正案、継続審議に(毎日新聞, 1/15)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080115ddm003010016000c.html

■Smartmatic Voting Solution Delivers Political Breakthrough in Venezuelan Referendum(ndtvprofit.com, 12/6)
http://www.ndtvprofit.com/homepage/monitor.asp?id=5416

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電子投票の国政選挙適用に関する継続審議

2008 年 1 月 9 日 コメントはありません

12月13日のエントリー「国政選挙における電子投票の脆弱性」について参議院の中村哲治議員よりコメントをいただいた。中村氏は12月12日の参議院特別委員会において電子投票特例法改正案について突っ込んだ指摘を行っている。(詳細は下記議事録を参照)結果として年内成立かと見られていた改正案は継続審議となった。
いったん衆議院で与野党合意の上で通過した法案が参議院でストップされるという異例の事態に。今後の経過が注目される。

■電子投票:公選法特例法改正案、国会継続審議に(毎日新聞, 12/22)
http://mainichi.jp/select/seiji/archive/news/2007/12/22/20071222ddm002010052000c.html

■ 第168回国会 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第2号(参議院, 12/12)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0203/168/16812120056002c.html

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宅配業者従業員による個人情報の目的外(犯罪目的)利用について

2008 年 1 月 9 日 コメント 1 件

企業活動を通じて得た情報をもとに社員が私的に犯罪行為を行うことは「個人情報の目的外利用」レベルに留まる問題ではないが組織が扱う個人情報を悪用された事件としては最悪の部類である。組織としては個人情報取り扱い上の責任が問われることも考えられ、宅配業者、郵便事業者においては同種事件防止のための具体的な取り組みが求められる。

【関連情報】
■ヤマト運輸(株)社員の逮捕について(ヤマト運輸, 1/8)
http://www.kuronekoyamato.co.jp/info/info_080108.html

■個人情報の利用目的について(ヤマト運輸, 2006/11/3)
http://www.kuronekoyamato.co.jp/privacy/privacy_02.html

■配達先狙い女性暴行=ヤマト運輸運転手を逮捕-「ほかに十数件」と供述・茨城県警(時事ドットコム, 1/8)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008010800699

■宅配先の女性を暴行の疑い、ヤマト運輸社員逮捕 茨城(Asahi.com, 1/8)
http://www.asahi.com/national/update/0108/TKY200801080309.html

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