RFIDを用いたシステムの設計・導入におけるプライバシーの配慮
以前カリフォルニア州のサッター小学校で児童・生徒にRFIDタグの着用を義務付けて行う予定だった実験について一部の保護者達が反対をして問題となっていた件について、学校側がこの実験の中止を決定した。
校長のEarnie Grahamは、同プログラムが無くなったのは残念だと語った。「非常に大きな損失だ」と校長は言う。「最先端に立つチャンスだった」(校長)
CNET-Japan
この一言に今回の騒動の原因を垣間見ることができる。RFIDタグを用いた生徒・児童の出欠管理自体については、すでにニューヨーク州バッファローのチャータースクールでも導入が行われており、うまく「プライバシー保護のための工夫」をすれば全く受け入れられないものではなかったはずだ。
今回の実験に関する初期の発表や製品の開発元であるInCom CorporationのWebページから読み取るに、開発者や導入に関わった職員がプライバシーの侵害の可能性を考慮しておらず、このような反発をまったく想定していなかったかのように思える。
このような問題を考える際にまず認識しなければならないことは、「プライバシーの問題の感じ方には個人差がある。」ということである。この手のサービスが問題となる多くの場合、開発者がプライバシーの問題を全く意識していないか、気づいていてもメリットがあるのだからいいだろうという安直な考えを持っている場合が多い。今回のケースでは、これに加え、保護者や児童・生徒に十分な説明もなく着用を義務付けようとした点や、学校関係者や開発元がこの学校を実験台として儲けを企んでいたことがみえみえだったことも、保護者達の反感を大きくしたようだ。
サービスの企画・設計時点から、本当に児童・生徒の安全を考え、両親の意見なども取り入れながら「プライバシー保護のための工夫」をしていけばこのような結果にはならなかっただろう。この事例をとりあげ、ヒステリックにRFIDの利用全てを悪者扱いすることは避けたい。ただし、今後、RFID利用の普及を考えた場合には、プライバシーの保護に関する配慮と工夫について、早い段階での利用者への説明・意見交換と仕様への反映が不可欠だろう。
【参考情報】
■米小学校、RFIDを使った児童監視システムを廃止–保護者などの反対を受け(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20080789,00.htm
■InClass(InCom Corporation)
http://www.incomcorporation.com/
■米国のRFID児童・生徒使用実験こちらは死体と同じ扱いに(武田圭史)
http://motivate.jp/archives/2005/02/rfid.html
冗談だよね?NTTデータさん
2月21日付の読売新聞:
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050221i106.htm
http://…
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