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事故の第一報と情報伝達経路の確立


組織の事故発生時の対応を考える上で最も重要な要素の一つが「情報」である。事故発生の際、権限を持つ上位管理者に「事故が発生した」という事実を素早く知らせ、その時点で分かっている状況を伝える。第一報から詳細な情報を伝える必要はない。まずは声をあげることが重要だ。状況が不明であればその旨(それ自体も重要な情報である)を伝え、以後の連絡手段と対応予定(何分後に連絡するなど)を付け加える。

状況不明の場合、組織がとるべき対応は、対策拠点を開設し、事故種別毎最悪ケースを想定した体制に移行することである。この際、事故に関する組織内の全ての情報が一点に集まるように情報伝達経路を確立しこれを徹底する。判断に必要な状況が集まるまでは、最悪の事態を想定した体制をとりつつ情報を収集し、状況が明らかになり次第、事故レベルに応じた体制に引き下げる。

ところが、実際にはこれと逆のプロセスとなる場合が多い。現場から、なかなか情報が上がらず、上層部も大したことはないだろうとタカをくくる。状況が明らかになるにつれ、事態の深刻さが認識され、外部からの指摘などもあってノロノロと対策本部が立ち上がる。

このような事態になってしまうのは普段からの組織の文化や制度にリスクに対する考え方が組み込まれていないためである。各中間管理者が小さな面子を気にする、事故の存在を隠そうとする、担当毎の縦割り意識が強い、管理者が事故の報告を受けたがらない。そんな傾向がある組織の場合、情報はまずしかるべき部署に伝わらない。管理者は日頃から重大な事故につながる事項に関してどんなに些細な情報でも報告をあげるよう部下を指導し、報告行為自体について当人を責めるようなことをしてはならない。とるに足らない事故の情報であったとしても報告をあげたことを評価すべきだ。

常日頃から非常時の情報伝達ラインを定義しておき、事故発生時に報告すべき項目をあらかじめ定めておくことによって、ミスコミュニケーションに伴う対応の不手際を防止することができる。現場の視点からは、第一報の報告は判断の責任を上位の管理者に委ねることになり、後で「現場が勝手に判断した」などと責任を押し付けられる事を回避できるメリットがある。

一方管理者の立場からは情報をタイムリーに受け取り適切な判断を下すことによって、管理者としての責任を全うすることができる。これを厭うような者はそもそも管理者としての素質に欠けると言えるだろう。「マスコミに聞かれるまで知らなかった」では許されないのである。

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  1. 匿名
    2005 年 5 月 8 日 16:35 | #1

    個人的には、事故の発生に対しヒステリックに反応する事で、本質とは異なる対応に追い込まれることが怖いですね。
    旅客航空や鉄道といった過去に何度か惨事を引き起こした業界では、やはりそれなりの危機管理に対応した組織となっている訳で、逆に他人の不幸を利用して漁夫の利を得ようと画策する族からすれば「面白くない」訳です。そういった手合いは兎に角何でも良いから不手際を見つけて火を点ける、思考停止した族がこれに反応して更に扇動する、事故を起こした側は「世論に配慮して」と称し火消し的な対応をする。時間的人的リソースを本質とはかけ離れた事象のために労することになる訳です。
    今回、関西地方で大掛かりな鉄道事故がありましたが、状況判断に欠いた運転手としての適正が問われて然るべきにもかかわらず、日勤教育があっただの宴会を開いただのと騒いでいる連中を見るにつけ、扇動者必死だな(藁)と感じると共に貴重なリソースを下らない事柄に費やさざるを得ない関係者か気の毒に思えてならない今日この頃。。

  2. keiji
    2005 年 5 月 8 日 22:19 | #2

    コメントありがとうございます。
    私も危機管理についての本質的な議論をすることが重要かと思います。

    仮に「状況判断に欠いた運転手の適正」に問題があったとすると、その「適正」を組織としてどう管理すれば事故を防止できるのか、判断ミスがあった場合にどういう安全対策があれば事故が防げるのか、などは本質的な議論といえるでしょうか。

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