危機管理のノウハウ
【危機管理のノウハウ 佐々淳行著 書籍紹介】
私は危機管理におけるリーダー養成を目的とした全寮制大学で教育を受け、危機管理を生業とする組織において勤務した。その後コンサルタントとして民間企業や官庁等の様々な方と接する機会を持ったが、一般の組織で危機管理の考え方がほとんど理解されていないと感じることが少なくなかった。もちろん危機管理ばかりをやっているわけにはいかないのは理解できるが、トップマネジメントからして危機管理の基礎をも理解していないのは非常に危険な状況である。
大学の売店で年中平積みにされており、誰が推奨するわけでもなく多くの学生が購入し参考にしていたのが、初代内閣安全保障室長である佐々淳行氏の著書である「危機管理のノウハウ(全3部冊)」である。専門家に言わせれば基礎中の基礎ということになるが、私がこの本からヒントを得、その後実践してきたノウハウは今でも有効だ。
大学卒業後、現場に配置されればそこは戦場で、平時と言えども危機管理のオンパレードである。領空侵犯に対する措置などというのはある種「想定の範囲内」だが、勤務中には様々な突発事態が発生する。空中での航空機故障、燃料の不足、天候の急変、部下の交通事故、不祥事、火災、国際情勢の急変などなど・・・・。都度、経験もたいした権限も無い指揮官に様々な危機対応が迫られる。後になってその経験を振り返り、「ああ『危機管理のノウハウ』に書かれていたことはこの事だったのか」と改めて認識することも少なくない。
この本で取り上げられている有名なフレーズとして、
・最悪に備えよ。
・悲観的に準備し、楽観的に対処せよ。
・即決断し、直ちに行動せよ。
などがある。これらはあらゆる組織における危機管理で重要な事項だ。リーダーがこういった考え方を実体験を通じて理解していたり、組織の暗黙知となっている場合には話が早いが、実際にはそうではない場合が多い。また、この他にも「初動対処の重要性」や「第一報の重要性」などについても意外と理解されておらず、ぜひとも広く認識してもらいたい事項である。
危機管理の要求は突発的に発生するため、あらゆる立場の人が日頃から当事者としての心構えを用意し備えなければならない。危機管理に関する書籍を手にしたことが無く、危機に直面した時にどう振舞うべきか自信が無ければ、ご一読をお勧めする。
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「完本 危機管理のノウハウ」(ISBN4-16-345790-9)の方が入手し易いようです。
しばてんさん情報ありがとうございました。
そうですか。紹介で取り上げたのは古い本でしたからね。
完本の方も読んだのですが、原本(?)とどう違っていたのか記憶になかったため紹介を控えさせていただきました。
完本の方はどうでしたか?
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