匿名P2Pファイル共有のある社会に生きるということ
現在の匿名P2Pファイル共有ソフトを介した情報漏えいが続くとなると、我々の生き方も時代に合わせたものに変えていかざるを得ない。現在あらゆる情報が匿名P2Pファイル共有ソフト上に漏洩される危険をはらんでいる。自己に関する情報で他人が持っているものはどれだけ自分が気をつけても守ることはできない。またどれだけ各自が情報漏えい対策をとったところで限界はあり、意図的な情報漏えいを防止することはできない。
最近の漏洩事故事例が示すように学校の成績、年収、犯罪被害歴、購入履歴、宗教などおよそ個人に関して最もセンシティブな情報が本人に何の落ち度がなかったとしても突如として世界中の誰でもがダウンロードできる状態となる。またそういった情報は、いつまでも消えることなく、一生引きずって生きていかなければならなくなる。一度の失敗や不注意で自分に不利な情報を生み出してしまうと、(たとえ漏洩しなかったとしても)その情報がその人の一生を左右し、失敗が許されない世界となるだろう。
少し前まで人類は匿名P2Pファイル共有のない社会に生きてきたが、今後も匿名P2Pファイル共有ソフトが利用され続けるとすると、自分や周囲の人を守るためには生き方や生活の仕方を変える必要がある。もはや中途半端な隠し事は通用しない。全ての情報は公開されるという前提で生きていかなければならない。その一方で秘密にしなければならない情報は徹底的に保護することになるだろう。もはや他人を信用して気軽にアンケートや各種フォームを埋めることはできないし、自分に関する情報が電子化されることについては特に神経質にならざるを得ない。企業や官庁等組織の情報については公開不可能な全ての情報について全アクセスを監視し情報の持ち出しについても完全な管理が必要となるだろう。自分の情報を電子化されない権利のようなものも保証する必要があるのではないだろうか?
これではかなり窮屈な世の中になってしまう。また経済効率からいっても無駄が多くなるのではないかと思う。電子化された情報はいつ漏洩されるかわからないので情報は全て紙で管理しようという時代に逆行する動きも出てくるかもしれない。
一方現状においては、漏洩事故の本当の被害者(漏らされた情報の本人)については十分な補償を受けることもなく、結果的には泣き寝入りとなるケースが多いのではないかと思われる。
情報発信者の特定を防ぐ匿名技術が一般市民の匿名性を奪う結果になるとは皮肉なものだ。社会全体がここまで犠牲を払ってでも匿名P2Pファイル共有というものを、受け入れていく必要があるのだろうか。
(もし上記が理解できなければ、ぜひ一度様々な漏洩事故の被害者の気持ちになって考えてみてください。)
注)本文中「匿名P2Pファイル共有ソフト」は「流通情報の管理不可能な匿名P2P技術のうち情報が消失しにくいもの」という意味で使用しています。
> 自分の情報を電子化されない権利のようなものも
> 保証する必要があるのではないだろうか?
その通りではないですか?
例えば少額の支払いには支払い側には匿名性を持たせる制度。
例えば一定期間のみ有効で複数保持可能な社会保障番号を使ってアンケートに答える。
例えば官公庁が個人データを一部でも公開したら公開相手を電子メールで知らせる。
これから考えていけばいいことでしょう?
窮屈?
各国語の聖書がなかった頃の司祭が、現代の教育制度を見ることができれば、さぞかし、窮屈に思うでしょうね。
武田様は「偽装ファイルによるWinny漏洩情報の隠蔽」で現在でもできる方法を書いているじゃないですか?それともあれは「自分はそれも考えましたよ」というブラフですか?
と今回おもいきり釣られてみました。ブログにまとめるにはネタ不足だったもので……
小学生くらいの子供でもインターネットに触れている以上、子供に「知らない人についていくんじゃないよ」というよりも先に情報社会の恐ろしさを教えていかなくてはならないことになります。
そんなことが可能なんでしょうか?
また、ネットの社会は、よくワンストライク即アウトと例えられるように、他者が弱みを見せると烏合の大勢がそこにつけこむという動きがよく見られます。
これにすべての人が対応できるのでしょうか。
誰もがのびのびと生きる自由を、人の弱みにつけこむ自由が奪いつつある状況であるように思います。
意図的なものでしょうか?
「匿名P2P共有」と「匿名P2P共有ネットワーク上に情報を流出させるウイルス」と「フラットな電子ネットワーク(インターネット)」が混同されているように思います。
これらをまず切り離す必要があるように思うのですが。
人間が技術に使われてしまっていいのだろうか。人間に制御できない技術は人間社会に役に立つのだろうか。原子力さえ、人間は制御できる方法を考え出したのに。。。。
インターネットの時代は「暴露社会」になってしまうのだろうか。社会は建前で成り立っている部分もある。みんなが本音で行動したら社会なんて成り立たない。
正直今の現状を考えると、企業がWinnyで情報を漏洩するのがだんだん軽視されてくでしょうね。件数が多ければ多いほど、有名企業が漏らせば漏らすほどあれは管理しきれないから漏れてもしかたないという認識が広がっていくでしょう。
情報漏洩罪の新設を行うことが討議されていますが、あれは企業に対して刑事罰を与えることを前提としており、さらに利益目的の場合のみに限る案だったかと思います。
#報道や医療がどうのといって反対されてますが
企業の過失によって、個人に不当の損害を与えた場合、その個人に対して企業がその責を問われるのが道理かと思いますがいかがでしょうか
にもかかわらず謝罪で終わりとか、それに同意できない個人は民事訴訟を起こし、その損害を原告として証明しなければなりません。しかも漏らされたにもかかわらず時間と費用の負担を負わなければならない、ばかげてませんかね。しかも物理的被害を証明することが勝訴の可能性が高くなるという。
証明に関しても物理的な被害のものだったら明確ですし、前例や法が整備されてますから企業は訴訟を起こされる前に保障したりしますが、論理的なものではそれに値しないようです。
あ、間違って漏らしちゃったよごめんごめん。で済まされる話じゃないでしょう。
漏らしたことでリスクを伴うといってもそれは信頼というものであって、漏らされた被害者には何も救済がない現状の方がおかしいかと。
であれば賠償義務を用意することが重要なのではと思います。
電子化された社会を否定するのではなく、それに沿ったルールを確立していくことが大事なのではと思います。
飛行機が一般化し、感染病が各国に広がる速度が早まったからいきなり飛行機を廃止して船に戻そうという議論をしてるのと同じことですよ?
今までの概念を当てはめて否定するのではなく、受け入れてそれに沿った文化を確立するのが正当な議論ではないのでしょうか。
しかしながら必ずしも保守派はいますし
その文化の浸透も数十年経過しなければ普及しません。
火を手に入れて、その危険性を認識できないまま被害が拡大したから火をなくそうと言っても恩恵を得ている人間が大勢いればそれはなりたちません。
正直P2Pに限らずもっと画期的な技術が悪用される可能性もあります。
セキュリティ研究者である方々では、今ある危険をどうするかだけではなく、悪用するという観点から論じていただくのも面白いかと思います。
#攻撃と防御の手法に似ていますね
この意見もそれはおかしいと思われる方も居ると思います、しかしながら発展性のないレスには反論しないことを先に伝えておきます。ご容赦ください。
> ワンストライク即アウト
いやいや、2ch で集中放火を浴びても、次の日は ID 変わってケロッとするもんじゃないっすか。
ウェブで著作権侵害が起きたらアウトとか言われてたころもあったと思いますけど、今は著作者側が検索技術を使ってそういうところには圧力を掛けてるじゃないですか。
> 誰もがのびのびと生きる自由を、人の弱みにつけこむ自由が奪いつつある状況であるように思います。
先の「各国語の聖書」ができたとき、司祭達の多くは聖書の持つ過激な内容が「自由」に解釈されることで、人々が教会から離脱し、倫理のない自由をほしいままにするのではないかと恐れたでしょう。
ある意味そうなりました。
今を生きるほぼすべての人はそういう自由を得ています。
あなたの会う欧米クリスチャンは倫理のない人間ですか?
新しい「人の弱みにつけこむ自由」があるのかもしれません。でも「弱いところを強くする自由」や「つけこめないようにする自由」「つけこまれたものを回複する自由」が他の誰かに生じていたり、まだ発見されてないだけかもしれません。
> 小学生くらいの子供でもインターネットに触れている以上、子供に「知らない人についていくんじゃないよ」というよりも先に情報社会の恐ろしさを教えていかなくてはならないことになります。
今の中高生の多くはインターネットを小学生のころから触れているはずです。
問題があっても彼らが彼らなりの方法で解決していくでしょう。
むしろ新技術がもたらした変化をことさら否定的に捉え、あらゆる「自由」を失くすしか方法がないと絶望することの方を私は恐れます。アナログ通信技術の発達の最中に大きな不幸があってからまだ 100 年たっていないわけですから。
オオゲサだとは思いますが。
blacklight さんへの個人攻撃に映ってしまったなら、それは私の意図ではありませんので。
どうも誤解があるようなので、、、
まず「自由」についてですが、匿名P2Pファイル共有が存在しない世界においては我々は比較的電子情報を「自由」に使うことができその利便性を享受できたわけです。私が恐れているのは「匿名P2Pファイル共有」のおかげで逆に我々の電子情報の自由が奪われることになるのではないかということです。
個人的には面倒な世の中になるなあと思っていますが、一方で自然な流れとしてそれを受け入れるということもありうるとは思っています。しかしその場合に、多くの方がまだその危険性を認識しておらず覚悟もできていないのであればそれについて警告は必要でしょうし、法制度や救済措置など社会制度の対応も検討が必要かと思います。
つまり我々は、匿名P2P(ファイル共有)技術のない社会と、匿名P2P(ファイル共有)技術はあるがその被害救済のしくみが整備されている社会のどちらかを選択しなければならない段階に来たのではないかと考えています。
ちなみに本エントリーの趣旨としては「匿名P2P共有ネットワーク上に情報を流出させるウイルス」ではなく「匿名P2P共有」が対象です。本文にあるとおり「意図的な情報漏えい」については原因は何であれ同じだからです。
「フラットな電子ネットワーク(インターネット)」については特に言及していないと思います。
どんな問題でも誤解があるのはお互い様です。
こちらの無理解をもう少しタダしていただければと思います。
誰からかは知りませんが、「電子情報を管理する自由」が失われた、ということでしょうか?私は、その通りだけど代替策はあるよと述べています。
ある意味「匿名P2P(ファイル共有)技術はあるがその被害救済のしくみが整備されている社会」でいいんじゃないということです。
技術革新によって省力化が実現されたならば、より多くの「危うい自由」をも認めることにし、その保障のために直接的・間接的に人を雇っていくというのはあり得べき発展の方向だと思います。
>ちなみに本エントリーの趣旨としては「匿名P2P共有ネットワーク上に情報を流出させるウイルス」ではなく「匿名P2P共有」が対象です。本文にあるとおり「意図的な情報漏えい」については原因は何であれ同じだからです。
了解です。キンタマで漏洩したから云々ではなく、「匿名P2P共有」そのものですね。
となると、匿名P2P共有に情報が漏洩するからどうこうではなく、匿名P2P共有そのものが我々の情報社会生活を脅かしている、ということでしょうか?
>「フラットな電子ネットワーク(インターネット)」については特に言及していないと思います。
Klez でしたか、既存の情報漏洩系も含めて考えていました。意図しなくてもTBCのようにヤっちゃった例もありますし、特に匿名P2P共有の有無に絞る意義を持っていなかったことに由来して「それはネットでも同じじゃないか」との印象から「これって全部ゴッチャになってねえか?」と思ったのですが。
匿名P2P共有、と絞れば、事故が起きなければ問題ない、つまり我々の情報社会生活を脅かすものではないと考えます。
むしろ、従来いわゆる一般ユーザにとっては見えなかったリスクが顕在化(というより認識)されたことに適切に対処すれば、匿名P2P共有も含めて安全な情報共有が実現できる可能性がある、いわばP2Pの普及に至る過渡期の混乱ではないか?といった感想です。
「流通情報の管理不可能な匿名P2P技術のうち情報が消失しにくいもの」をイメージしています。従来のインターネットアプリケーションを使った情報漏洩または流布と、Winnyのような第三世代(?)匿名P2Pファイル共有ネットワーク上での情報漏洩または流布の違いは認識されているでしょうか?
私は現在のインターネットがフラットとは思ってません。
結局皆で便利で安全に使えるようにいろいろなルールがあるのではないでしょうか?
それは現実社会でもネットの社会でも同じですよね。どこの世界でも何でもしていいわけではなくて、皆が安心便利に使えるようにルールを作っていけばよいのだと思っています。
>「流通情報の管理不可能な匿名P2P技術のうち情報が消失しにくいもの」
あーーーー
了解。
>従来のインターネットアプリケーションを使った情報漏洩または流布と、Winnyのような第三世代(?)匿名P2Pファイル共有ネットワーク上での情報漏洩または流布の違い
正直に言って「程度の違い」でしかないと思ってます。
ただ、確かに Winny の例なら二年前の漏洩もまだ残っていたり、漏洩した情報の残存期間は延びてますね。
自分も誤解されてる気がします。
このエントリは裏を返せば匿名じゃなければ大丈夫なのかという意味にも取れます。
匿名性のないファイル共有は除外されるのでしょうか?匿名がなかったらなかったで逆にそれは攻撃者側にとっても好材料になりえるのではないのでしょうか
たとえばウィルスをばら撒きました。
誰かが餌にかかり情報流出します。
その場合その誰かの職務などが特定できる可能性があります。
その状態であれば、その個人を付狙った攻撃も可能になるということです。(情報流出度によっては物理的な攻撃も可能性にありますよ?)
1次流出を含めて考えるべきではないのですかね
であれば、匿名に拘らずP2Pファイル共有自体に焦点を当てるべきでは?
つまり
「情報が消失しにくいネットワーク」としての匿名P2P、ということだと認識しました。
顕名であれば、マズそうな情報を中継することを躊躇させうる、ということでしょうか。カジュアルに第三者の個人情報なり機密情報を中継することに(感覚的に見える)リスクが大きいか小さいかで、そういったセンシティブな情報の残存期間が大きく変動するであろうことは容易に予測できますので、顕名のものは検討対象から省くということでよいでしょうか?
#WEBなどでコピーが広がりにくいのはコピーの配布者が容易に追跡しうるから、という意味で匿名P2P共有とは情報の流通・残存の形態が違うと考えられる
で、情報の漏洩あるいは流布という原因については既存のWEBやメールでもありうるので考慮しない、ということで。
流通経路として従来のものとは性質が違う匿名P2P共有のみをピックアップしたということですね?
JRFさん
返信ありがとうございます。
>いやいや、2ch で集中放火を浴びても、次の日は ID 変わってケロッとするもんじゃないっすか。
匿名社会に習熟している人は、そういられるのかもしれません。
しかしワンストライク即アウトというのは、実名で記事を書くのがあたりまえの主に米国で言われ始めたことです。
よって匿名ネットワークとは本質的に無関係で、このエントリで書くべきことではなかったかもしれません。
ただし、集中砲火を浴びせやすくなる触媒としての役割を、匿名ネットワークが持っていることも確かです。
匿名参加の人と実名参加の人の格差が生まれてしまうのも問題でしょう。この使い分けを自分で考えろと迫られているのかもしれませんが。
著作権者側に視点を移しても、実社会レベルでは、潤沢な資金を持つ企業と一介の個人を同一視することは出来ません。
ネットワーク上では一つのIPを使っているどうしで個人も企業もありませんから、これを現実社会とすり合わせる何かが必要であることは間違いないでしょう。そこに匿名と実名のすり合わせも必要だと思います。
現状では、匿名であることは責任逃れの手段として悪用されているケースが目立つように感じます。
例えば企業が営業情報流出の被害を受けている場合、匿名でないP2Pであれば差し止め請求権がありますが、匿名P2Pのネットワークではそれが不可能ということになります。
すなわち武田さんの問い掛けていることは、「匿名だから責任逃れを許してそれ以上追求しない、代わりに救済手段を用意する」のか、「匿名likeであっても手を尽くしてきちんと取るべき責任は取らせる」かの違いという風に言い換えられる一面があるような気がします。
>「弱いところを強くする自由」や「つけこめないようにする自由」「つけこまれたものを回複する自由」
>問題があっても彼らが彼らなりの方法で解決していくでしょう。
ここで解決していく力をつける手段、自由を得る力をつけるまでの間はやっぱり保護してあげなくてはいけないということが、この点で私の書いた主旨です。
子供だったら教育によって問題になる期間を短縮することは可能でしょうが、今後人口の半分以上を占めていくであろう高齢者のうち、ネットワーク社会に適応できない方に対しての特効薬はどこにもないと思われます。そういった方を見切ってしまうわけには行かないでしょう。
>blacklight さんへの個人攻撃に映ってしまったなら、それは私の意図ではありませんので。
この場の議論の深まりに寄与する提起はもちろん大歓迎です。
そうですね。
たりきさんの書かれている内容+拡散のスケールと速度、アクセスの容易さも含まれると思います。
全ての情報漏えい事故を対象に、そもそも論をし始めるときりがないので、ここではまずは大きなリスクという意味で「匿名P2P共有」の存在によって変化したリスクをどう許容するかあるいはしないのかという議論が必要かなと思っています。
>拡散のスケールと速度、アクセスの容易さも含まれると思います。
当初の Winny は敷居が高かったはずですが、いつのまにか解説本などによって簡単に導入できるようになっています。
知名度にしても、Winny だけでなく Share まで報道されるに至ってはもはや公知のもの、一部のアングラでは済まないでしょうから。
拡散速度もブロードバンド化を背景にユーザが爆発的に増え、無視できないものになっていますね。
これらは WinMX の頃に比べてもリスクの変化や顕在化の一因と言えるでしょう。
で。Winny で顕在化させられたリスクはすでに現実のものとなり、それでも匿名P2P共有にはニーズがあり、おそらくこれを完全に捨て去ることはできない以上、リスクを許容しないという選択肢はありえないように思います。
となると、リスクを許容するためにどこまでリスクを低減できるか、そのためにはどういった対応が必要かを考えるほうがよいのかも。
#Tor や FreeNet の例を引くまでもなく、匿名での情報流通に対するニーズは確たるものですし、情報としてさまざまな表現がある以上、「匿名P2Pでのファイル共有」という形態はよりベターなものが駆逐するまでは残るでしょう。
個人攻撃ではないと言いながらブログ管理者じゃない方に個人的な対応をするのは矛盾しているかもしれませんが、ギリギリ関係のあるコメントにしますのでお許しください。
> しかしワンストライク即アウトというのは、実名で記事を書くのがあたりまえの主に米国で言われ始めたことです。
米国では「本名」すら変えることができます。日本には戸籍制度があり、下手をすると家族構成すら知られてしまう制度が昔からありました。
もちろん、名前を変えるデメリットは大きく、その違いも目立たないかもしれませんが、そういった違いからくるメンタリティが、ネットの有り様にも影響していると思います。匿名性を持った 2ch が日本で大きく成長したのは、必然だったのではないかとも思います。
私は基本的にこのような違いがうまく機能して日本と米国などで独持のネット文化が発展し、相互に技術交流する形になれば理想的ではないかと思っています。
そのような意味で、Winny は、問題はかなりありますが、これを封じるのではなく、その匿名性をうまく活かしたまま、著作権問題等についても米国がこれまで目指していたものとは違った方向で解決していけたらと考えています。
> 「匿名だから責任逃れを許してそれ以上追求しない、代わりに救済手段を用意する」
これまでさんざん責任逃れを許してきたじゃないですか。バブル崩壊後に何があったかはある程度トシ食ってりゃ気付いてるでしょ?
それでもある程度うまく回るような社会にしてきた。「責任」を時の流れであいまいにし、責任が薄まってから、ある程度張尻を合わす。
匿名 p2p については、とりあえずそういうシステムを目指して行き、ときどき、米国などを参考に締めるところは締めていくという形で良いと思います。
楽観的過ぎますかね?
> 今後人口の半分以上を占めていくであろう高齢者のうち、ネットワーク社会に適応できない方に対しての特効薬はどこにもないと思われます。そういった方を見切ってしまうわけには行かないでしょう。
その点は難しい問題だと思っています。インターネット普及当時からの大きな問題で、例えば電子マネーや社会保険事務に関する電子申告が普及したとき、高齢者の方にいかに参加していただくかは、考えておかねばならないでしょう。私は訪問介護からの発展に期待していたのですが、そもそもそれがうまくいってないようですしね。
とりあえず、これから老境にさしかかろうとする方々にはネットの匿名性を理解していただいて、ネットの恥は掻き捨てとばかりに、チューボーのふりして質問することを覚えていただきたいです。ダメカナ?
主な流れとは離れた概念的な話を勝手にしているようで、申し訳ありません。
>Winny は、問題はかなりありますが、これを封じるのではなく、その匿名性をうまく活かしたまま、著作権問題等についても米国がこれまで目指していたものとは違った方向で解決していけたらと考えています。
権利調整が出来ないところまでがんじがらめになっている現状が良くないのは確かですが、フェアユースでもない形をイメージするのは難しいですね。
国ごとの文化の違いによって多様化していくことと、その後の融合については、確かに理想的だと思います。しかしその形が、自分のいる国についてすらまったく見えていないことには大きな不安を感じます。
>匿名 p2p については、とりあえずそういうシステムを目指して行き、ときどき、米国などを参考に締めるところは締めていくという形で良いと思います。
政治的決着が様々な要素をゆがめてしまう国家レベルから、個人レベルまで、権利と義務が表裏一体であるという論理的整合性を崩してしまうほど、匿名P2Pが大切なものかどうかということだと思います。
情報強者にとっては必要不可欠に思えても、情報弱者にとってもそうだとは限りません。そのための弊害が情報漏洩という形で表に出てきたというのが今起こっているいることでしょう。
世の中には、情報強者よりも情報弱者の方が圧倒的に多いはずです。
元々ユーザの良心を前提に支えられてきたインターネットがその前提を崩され、さらに最低限必要な責任まで必要なくしてしまって、社会として成り立つのかという心配が先に立ってしまいます。
>チューボーのふりして質問することを覚えていただきたいです。ダメカナ?
そこまで出来たとしても、さらにそこで帰ってくる回答の信用性を判断できないといけないですから。
ここで信用性を判断できるような人は現時点でもAntinnyに感染することなどまずないし、Antinny感染者に自分の情報を渡さないことはさらに難しいですし。
> 権利と義務が表裏一体であるという論理的整合性を崩してしまう
究極的にはこれが必要なことだと思っています。例えば消費者契約法に見られるような身分法への回帰や、スパムのようないちじるしく義務を問うためのコストの高い形態への補償の問題、昔からある被害者救済の財政的担保と罰金の関係。日本では一体という考えが昔から強いのか集団訴訟も認められていませんね。
著作権の問題も、テレビなんかはすでに利用者が番組制作費を払っていませんが、番組を見る権利があるとみなせるといったように、権利と義務が一体であるとすると、逆に扱いが難しくなってきています。
著作者と利用者が Win-Win の関係になれるように権利と義務を組み立てれば、両者の間に直接的な「契約関係」がなくても良いのだと思います。
具体的な方法を問われると、成功の疑問符が付くようなシステムしか提案できないので、ここでは申し上げませんが、そのような方向への努力は、コミケなどでもなされていると思います。
> 世の中には、情報強者よりも情報弱者の方が圧倒的に多いはずです。
一般論としては確かにその通りですが、こと IT の問題に関しては、情報強者の中に経済弱者が多数いて、それをうまく利用できていないだけではないかという疑念が私にはあります。
> >チューボーのふりして質問することを覚えていただきたいです。ダメカナ?
> そこまで出来たとしても、さらにそこで帰ってくる回答の信用性を判断できないといけないですから。
いやいや、チューボーのふりをするのは、何も恥を隠すだけが目的ではなく、チューボーのごとき鈍欲さで「体当り」で信用性を学んでいけばいいということです。
Antinny に関しては、私の主張は「ネットワーク・ワクチン」付きの偽造ファイルを撒けばいいというもので、その点は今も変わりないです。
……かなり論点がはずれてしまいました。申し訳ないです。
[セキュリティ][雑記]無意味なデータを大量に流す
「匿名P2Pファイル共有のある社会に生きるということ」というエントリに対して、「ダミーの内容を持つ同種の情報を大量に流すという情報漏洩対策」が提唱されている。こ…
2006年04月12日 11:49 のコメントの「危うい自由」とは《名目賃金と実質賃金》の注で述べている「日本型ワークシェアリング」のことではありません。規制の付け換えと言っても、これまでとほとんど同じ組識構造を持った規制では意味ないです。
逃げた先にあるのが自由とは限らないのと同じように「規制を緩和」した先にあるのが自由とは限りません。
ここでの議論ではないですが、テレビで「規制緩和」におかしな心理的枠付けをしようとしていたので……。
このコメントがどう見ても関連が薄い場合はお手数ですが、消していただければと思います。
(コメントではリンクが使えないようなので、今回の JRF のリンク先を《名目賃金と実質賃金》へのリンクにしています。)
なぜWinnyをめぐる議論はお粗末だったか
この度のWinny騒動をめぐり、ネットでは各所で議論が交わされていましたが、その議論の多くは実にお粗末なものでした。Winnyの特殊性に気づかず、安易に「Win…
なんでβ版のソフトで発生した不利益を使用者が責任を負わないでもいいような議論が発生するのかが理解できないんですが・・・
初心者がβ版を触ってる時点でなんか変。
ウイルス感染が流出の原因だとすれば、感染者は従犯であって主犯はウイルス製作者。
初心者がWinnyのベータ版を使っているのが悪いことなら、やっぱり初心者は従犯で、もっと悪い主犯はその初心者をWinnyネットワークに誘い込んだ奴ら。
流出させた当事者だけに責任を覆い被せようとしている奴らが多いのは、要するに自分たちが誘い込んだ相手に対する責任転嫁であり、責任逃れなんだよ。
Winnyは悪くないって言うのは、平たく言えば自分は悪くないって言いたいのを、言っている主体を曖昧にしたいだけなんだな。
Winnyは意図を持たない単なるアプリケーションなんだから、悪いも悪くないもない。悪い・悪くないを検討すべき対象は、Winnyを○○する「人間」だよ。
そして○○に入る具体的行為をどう定義するか。
包丁も刀も殺傷能力は十分あるが、銃刀法で規制されるのは刀だけ。
著作物も流出情報も、外部に送信するのには匿名P2Pである必要はないが、使用目的が不法な方向に特化しているからね。Winnyユーザがこれだけ横暴な使い方をしている限り、規制の対象とされるのは当然でしょ。
個人的には、技術にも法律にも長けてはいませんが、
管理業務の基本的なポイントは押さえているつもりです。
いわく、
パソコンを使う【目的】が、
仕事であれ、遊びであれ、【何であれ】、
ネットに接続していても、接続していなくても、
利用にさいしては、
その【管理責任】が問われる事と思います。
今のところ、一般の個人が、機密とすべき情報を漏洩しても、
法的な責任が問われる可能性は少ないでしょう。
(民事訴訟でも起された日にはわかりませんが。)
ただし、少なくとも、【道義的責任】は発生するものと考えます。
例1】
キーを付けっぱなしの自動車を盗まれて犯罪に使われた場合
例2】
交差点での路上駐車が原因で交通事故が起きた場合
例3】
海外旅行で知らずに伝染病に感染して税関をもすり抜けてしまった場合
武田さんをはじめとした、多くの方が提唱されていることは、
その【恒常的】な【管理方法】にあるのではないかと思います。
何事においても、物事を【維持管理する】ということは、
★
ある物事の現実の状態を、
理想的な状態に限りなく近くなるよう、
維持し続ける。(PDCAサイクル)
同時に、予期せぬ外部環境の変化に即対応すべく、
変化の直近においては【対処療法】でしのぐ。
少し落ち着いたところで、【恒常的な対策】、
つまり、「理想的な状態とは何なのか?」
も含めて策定していく。
という事で良いのではないでしょうか。
【現実が、100パーセント理想どおりにいかない】のは、
なにも、パソコンやネットワークの管理にかぎった話ではない。
という事です。
これは、会社組織などで就業されている方にとっては、
「ハインリッヒの法則(氷山の一角)」と共に、
組織内教育などで広く知られているはずです。
以上