GPS携帯による各省庁幹部と国会議員の監視について
防衛省幹部をGPS携帯で監視するという話がでている。前事務次官の接待問題からこれを歓迎するムードも広まっている。大臣が省庁の調達に関して影響力を持つ職員が業者等との癒着することのないようしっかりと管理監督する必要はあるのは当然だが、この場合どうも目的と手段がかみ合っていない印象を受ける。
下記の記事では、
「元事務次官のゴルフ接待問題を受け、防衛省は幹部をGPS携帯電話で監視することを考えている。(ロイター)」
という趣旨に対して、
「GPS携帯は国防上の緊急事態の際に出勤しなければならない上級職員にのみ支給されるという。」
と書かれているが、目的が「接待の監視」なのに支給先は「緊急事態の際に出勤しなければならない上級職員」なのはなぜだろう?
「接待の監視」であれば支給の対象は調達に関して権限または影響力を持つ職員とすべきだろう。
もし報道内容が事実なのであれば、プライバシーの問題以前に「接待の監視」が目的なのか「緊急事態に必要な職員を出勤させる」のが目的なのかもう一度よく考える必要がある。
そもそも国家公務員(特別職を含む)の「接待の監視」を目的にGPS携帯電話の導入が必要というのであれば、同じロジックに基づき、全ての省庁の調達絡む幹部についてGPS携帯電話を持たせて監視すべきだろうし、同様に全ての国会議員についてもGPS携帯電話を持たせるべきだとの声もでてきそうである。
緊急事態に対応が必要な省庁の職員だからGPSが必要というのは一見もっともなように見えるが必ずしもそうではない。GPS携帯電話が提供するのは、ある時点における携帯電話(と通常その所有者)の位置情報である。緊急に出勤させるには通話かメールで呼び出せば良いわけで、誘拐や失踪でもしない限りはGPSの位置情報通知機能は必要ないのである。
ちなみに、仮に幹部職員にGPS携帯電話を持たせたとして、ある職員が休日にゴルフ場にいる事がわかった場合、誰と一緒にプレイしているかはどうやって調べるのだろうか?関係企業の社員にGPS携帯電話を持たせこれらを全て監視するとか?
ん~・・・!?
以前、次官に夜間携帯電話で連絡がとれないという事が問題とされたことがあった。こういった際にGPSで位置情報が取得できると考えたのかもしれないが、当然携帯電話の電源が入らない限りGPSも使えないわけで・・・。
(11/2 追記)
結局のところ本当の狙いは休日や夜間などに宅直(自宅待機)や一定時間で登庁することを求められている職員が、勝手に登庁可能区域外に出てしまうことを抑止。ついでに企業との癒着への精神的な重石にでもなれば一石二鳥、なんとなくそれっぽい理由にもなり実現しやすいということか。
【参考】
■防衛省、GPS携帯による幹部の監視を検討(ITmedia, 11/1)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0711/01/news114.html
ご無沙汰してます。
追記されていますが、別の記事、
http://www.asahi.com/politics/update/1101/TKY200711010329.html
によれば、該当する人は「所持を義務づける対象は(略)休日の連絡先は自己申告」とあります。もともと休日の行動も把握されるべき人が、不適切な接待がばれないよう「無断で行動した」ことが問題視されているのであって、接待そのものが問題視されているわけではないのでしょう。それこそ「XXゴルフ場で接待受けてきます」と正々堂々申告することでも解決しそうです:-)
要するに(ITmediaの記事を書いた)ロイターの記者は、あまり理解せずに書いてしまったんでしょうね。
しばらくです。
GPS搭載の有無によらず、携帯電話を持たせるという点に無理があるように思います。
勤務先でも一時期有線の内線電話を携帯に置き換えるという計画がありました。
しかし、携帯電話を携帯したがる社員が少なく、この計画は頓挫しました。
理由は「大した用件でもないのにいちいち携帯で呼び出されるのがめんどう」といったところです。
仮に所持を義務付けたところで、逃げ道はいくらでもありそうです。
お返事ありがとうございます。
そこは、
> 危機管理官庁なので(幹部が)居場所を明らかにするのは当たり前という理由があるので「なんか嫌」と言えるような立場の人ではないように思います。まして「逃げ道」を考えるような人は、そもそも幹部としてふさわしくないような。
ところで、某社の場合は、義務付けとまではいきませんが、内線電話とは別に携帯の支給を受けることができ、番号は社員情報として検索できるようになっています。大した用件でもないのに呼び出す人はいないですけど:-)、そういうことがあったら「大した用件でもないのに呼び出すな」と言ってやりましょう:-)
とんとかいもさん、ごめんなさい。
細かいことですが、武田さんのお返事かと勘違いしてました。
mohnoさん、「とんとかいも」です。
こちらこそ失礼しました。
> 「逃げ道」を考えるような人は、そもそも幹部としてふさわしくないような。
に同意します。仰る通り、そもそも「ふさわしくない人物」が「ふさわしくない地位」につくような【人事に問題がある】わけで、これは携帯電話の運用以前の問題ではないかと思うのです。
mohnoさん、とんとかいもさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
まず「接待問題」については「接待を受けたことの問題」と「接待を受けるために待機すべき場所を離れたことの問題」があり、ここでは後者への対策を言っているのでしょうね。(ややこしい)
で、プライバシに対する懸念がでているのはこのあたりの情報の利用目的と範囲が明確に定義されていないことによるのではないかと思います。
一定の範囲にいることを確認することが目的なのであれば、範囲外に出た場合に記録が残る、警告が送られる、あるいは通常の運用では一定の地域での位置表示にするなど必要以上のプライバシ侵害を行わないような機能を実現すればよいのではないかと思います。
目的と範囲を明確にせずに、漠然と監視するという話だけが進むと、どうしても反発がでますし、将来的にも何かに悪用される可能性も高まるのではないかと思います。
携帯 電話 gps
盗難等のセキュリティーでGPSで場所が特定出来る装置盗難等のセキュリティーでGPSで場所が特定出来る装置新車を購入しまして、盗難等のセキュリティーでGPS…
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080104k0000m040086000c.html
防衛省以外からも情報は漏れているようですよ
http://www.ntt.com/index-j.html
HPでは何も告知がありません。
盗んだのは派遣社員だけれど現場の管理職は使用者責任があるはず。また盗難が起きたとき、速やかに防衛省に報告していたのか、そこまで会社は告知すべきではないだろうか。