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電子投票の国政選挙適用に関する継続審議(その2)


毎日新聞社 日下部記者が電子投票をめぐる国会での議論について多面的な分析に基づき記事をまとめている。記事中の「そんな答弁でどうやって(法案に)賛成したらいいんですか」という発言にもあるように、多くの人々が電子投票のメリットを認めているものの現実に様々な不安要素が残されており、手放しで賛成できないというのが実情だろう。

武田教授は「『性善説』に基づくシステムでリスクが十分理解されていない。現段階での電子投票の全面導入は民主主義の重要な過程をブラックボックスに委ねることになる。慎重に議論すべきだ」と話す。一方、EVSの宮川理事長は「電子投票だったベネズエラの国民投票で(強権的な)チャベス大統領派が負けたことが公平性を証明している」と反論する。

EVSの宮川理事長は日本の選挙における電子投票について早くから技術開発と実践に取り組まれており実際の電子投票をめぐる各種問題にも真剣に取り組まれてきた人物である。電子投票機器に関する我々の調査にも大変前向きに協力していただき大変感謝している。安全で信頼性の高い電子投票を実現するという目指すべき方向については多くの人々が思いを同じにするところであり、この点において民主党も自民党もEVSも我々の研究チームも同じ意識を持っているはずである。先の記事の中で「電子投票を用いたベネズエラの国民投票」を例に電子投票が公平性が証明されたとしているが、電子投票が適切に実施されれば公平である点については誰も異論はないだろう。問題はどのようにして電子投票が適切に実施されることを担保するかである。

ベネズエラの国民投票に用いられた電子投票機器はスマートマティック社のSAESというシステムだそうだ。このシステムは投票結果を電子データとして記録するだけではなく同時に紙としても出力し投票箱に保管する「voter verified paper trail (VVPT) 」というアプローチにより公平性を担保(しようと)している。印字や給紙のトラブルなどにより電子記録と紙の記録に齟齬が発生するなど別途対策が必要な課題もあるが、電子データのみでブラックボックスに記録するよりは信頼性の面で優れるだろう。現在日本政府が提案している電子データの記録のみによる電子投票は、ベネズエラで実施された電子投票よりも信頼性の担保の面で不利であると言わざるを得ないだろう。

いずれにせよ日本は他国に比べ電子投票に関する認識や技術に対する理解が十分とは言えず、今後は単なる水掛け論にとどまらず建設的かつ本質的な議論を進めていかなければならない。

■クローズアップ2008:どうなる電子投票 法改正案、継続審議に(毎日新聞, 1/15)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080115ddm003010016000c.html

■Smartmatic Voting Solution Delivers Political Breakthrough in Venezuelan Referendum(ndtvprofit.com, 12/6)
http://www.ndtvprofit.com/homepage/monitor.asp?id=5416

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