明和電機がやってきた!
なんとあの明和電機がピッツバーグにやってきた。同社にとって米国初進出「製品デモンストレーション」は、開場前から行列ができるほどの人気であった。土佐社長のとぼけた英語での営業トークはアメリカ人を始め世界各国からこのキャンパスに来ている人々を笑いと感動の渦に巻き込み、彼らのハートをがっちりと掴んだ。私は同社のデモを見るのは初めてだったが、アメリカでこれほどにまで人々の心を魅了する土佐信道社長の才能に尊敬の念を抱いた。
今回のデモは一度大雪のために順延され2日遅れで開催されたのだが、立ち見こそは出なかったものの、会場は満席に近い状態となった。当初、大々的なアナウンスも行われておらず、リスケジュールもあったので、観客が集まるのかと要らぬ心配をしていたが、全く問題はなかったようだ。
製品デモンストレーションは、土佐社長のプレゼンテーションから始まった。同社の歴史と活動経緯、各製品シリーズとコンセプトの説明があり、DVDを用いた代表的な製品の紹介などが40分ほど続いた。この間、土佐社長の絶妙なジャパニーズイングリッシュは、アメリカ人達のハートをわしづかみにし、彼の一挙手一投足、発する言葉の一言一言が笑いを誘っていた。私の後ろに座っていた金髪の女の子は、途中からは意味も無く狂ったように笑い続けていた。
プレゼンテーションに続きサバオ(明和電機のキャラクター)のサンバ調の曲のビデオが流れ、各演奏マシン実機の紹介となった。それぞれ一度DVDで説明されているのだが、実際に社長の演奏する様子に観客は笑いをこらえきれずにいた。私の後ろではやはり金髪の女の子がおかしな声を上げて笑い転げていた。
そしてデモは佳境に、全マシンによる自動演奏に続いて、土佐社長とバイト君達によるライブとなった。心配されていたマシンの動作も快調で、すばらしい音色とノリの良いビートを発していた。今回使用していたマイクは一般の講義用のものと思われ、声が通りにくかったのが残念だが、社長はそんなことをものともせずに見事に歌い上げた。観客のテンションは徐々に高まり、社長のフリにあわせて踊りだす人々もちらほら。演奏が終わると割れんばかりの拍手喝さいとなった。アンコールの社歌が演奏され、大歓声の中エンディングを迎えた。
90分にわたる製品デモンストレーションの最後は開場からの質問で締めくくられた。会社には何人の従業員がいるのか、今後どのような製品を開発するつもりか、社長のお兄さんはどうしてしまったのか、という微妙な質問もあったが、土佐社長のとぼけた英語トークで難なく切り返し、開場を再び笑いの渦に巻き込んだ。
今回私は日本人として、アメリカ人に混じり明和電機の製品デモを見たわけであるが、もともとアートなどに関心の高い人々が集まっていたとはいえ、会場にいるアメリカ人がすっかり明和電機に魅了されていることに正直驚いた。アメリカでは最近、日本ブームでもあり、もともと日本に対する関心が高まっている。自分達とは全く異なった文化的背景を持つ日本から不可解な機材を引っさげてやってきた明和電機はアメリカ人の興味を惹くには十分過ぎるインパクトがあったのかもしれない。また、そのエンターテイメントとしての完成度の高さは、米国の基準からみても十分に通用するのではないかと思う。個人的にはぜひ明和電機にオフブロードウェイを足がかりとして全米進出を目指してもらいたい。
デモ終了後のレセプションでは社長はサイン、写真と引っ張りだこ。あるアメリカ人の初老の女性が、私から紙を奪って、孫にあげたいからと自分の孫の名前を入れたサインをうれしそうにもらっていたのが印象的だった。
ともあれ、今回はるばる日本からやってきた明和電機は、前日の地元アメフトチーム・スティーラーズの敗北によって打ちひしがれるピッツバーグの人々を、すばらしいパフォーマンスで勇気付け、生きる希望を与えてくれた。ありがとう明和電機。アメリカにもきっと多くのファンが生まれたに違いない。
【参考情報】
明和電機公式サイト
http://www.maywadenki.com/
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